そういえばこれ、誰のお墓かしら? 上海アリス幻樂団が奏でる、幻想的で激しい音樂集第二弾 おおよそ始めまして、ZUNです。 聴いていると変な霊が集まってくる様なCDを目指しました。 ジャケットと曲でワンセットになる様に試みてますので、余裕 があったら、曲に合わせてコメントを読んでみて下さい。 ちなみに、除霊は自費でお願いします。 1.夜のデンデラ野を逝く 「そう、間違いなくこれよ。」 蓮子はそう言って写真付きのノートを見せた。肌寒くなってき た秋の夜にわざわざ出掛けて来たんだから、何か見つからない と困る。でも正直、墓荒らしの真似は避けたかったわ。 2.少女秘封倶楽部 「メリー、蓮台野にある入り口を見に行かない?」 蓮子がその話を持ちかけてきたのは二日前の事だった。 私達秘封倶楽部は、メンバーは二人だけど良くあるただの霊能 者サークル。霊能者サークルだけど、普通みたいに除霊や降霊 とかは好きじゃないの。周りからはまともな霊能活動した事な い不良サークル、と思われてるけど…実はね。 3.東方妖々夢 ~ Ancient Temple 「蓮台野の入り口って、何? 蓮子。」 私は蓮台野に入り口があるなんて聞いたこと無かったし、余り にも唐突だったのでそれしか言えなかったわ。 「まぁ、見てよ。」 蓮子は古い寺院が写っている写真を差し出した。見た事も無い 寺院だった。 「これが冥界よ。」 4.古の冥界寺 「なんで冥界の写真なんかあるのよ。」 「私には裏表ルートがあるのよ。メリー。」 どういうルートかさっぱり分からなかったけど、どうせ死体相 手の念写かなんかだろう。 「で、こっちの写真。山門の奥を見て……」 5.幻視の夜 ~ Ghostly Eyes 「ほら、門のここ。向こう側。明らかに現世でしょ?」 指差された場所には、夜の平野、そして、一つの墓石が写って いた。空気の色が違う。確かにそれは私たちの世界の色…。 私は山門は三門って漢字が正しいのよ、と言おうか迷っていた。 6.魔術師メリー そう、秘封倶楽部の裏の顔は張り巡らされた結界を暴くサーク ルなの。均衡を崩す恐れがあるから禁止されてるんだけどね。 でも、私は結界の境目が見えるの。何もしてなくても見えてし まうのよ。見えてしまうんだから不可抗力よね。 7.月の妖鳥、化猫の幻 そう言えば、蓮子は『蓮台野の入り口』って言ってたわ。この 写真から入り口の場所が分かったのかしら? 「簡単よ。ここに月と星が写っているのが見えるじゃない。」 蓮子は星の光で今の時間が分かり、月を見ただけで今居る場所 が分かるらしい。蓮子はいつも私の眼の事を気持ち悪いって言 うけど、蓮子の眼の方が気持ち悪いと思うわ。 8.過去の花 ~ Fairy of Flower 彼岸花って気持ち悪いよね。私、あの花嫌いなの。子供の時からそうだったわ。 蓮台野で一番彼岸花が多く生えているお墓が 入り口よ。何故か突然そう言ってしまった。 蓮子は、メリーが言うなら間違いない、と信じて疑わなかった。 勝手に目的地にめぼしが付けられた。 9.魔法少女十字軍 ついに、蓮台野結界穴捜索決行の日が来た! 人気の無い夜が最適、という事で夜に出発する事になった。勇 ましく出発したまでは良かったんだけど、蓮台野に着いた時、 急に冷静になってしまったわ。 そう言えば、蓮台野って墓地だったわね―― 10.少女幻葬 ~ Necro-Fantasy ――蓮子言う通り目的の墓石はこれだろうけど、何も見えない。 蓮子は私をせかす。私は墓を弄ってみたり、卒塔婆を抜いてみ たり色々やってみた。蓮子は空を見ながら、2時27分41秒、 と呟いている。気持ち悪い。結局、墓荒らしの真似をしているの は私だけか。墓石は重たくて回すのがやっとなんだけど……。 「2時30分ジャスト!」墓石を4分の1回転させたその時。 秋だと言うのに目の前に一面桜の世界が広がった。 11.幻想の永遠祭 紅葉ももう終わろうとしていた。我が不良サークルはまだ細々 と続いている。夜になると空を見て時間を呟く癖のある相棒は、 私との待ち合わせに遅れていた。 「遅くなってごめん!」 「2分19秒遅刻。」 相棒は写真を取り出し、いつもの様に語り始めた。 「そんな事よりメリー、 博麗神社にある入り口を見に行かない?」