-------------------------------------------------------------------- ○東方地霊殿 ~ Subterranean Animism. キャラ紹介とネタバレ 上海アリス幻樂団長ZUN 2008/08/16 -------------------------------------------------------------------- =========================================== ■0.設定の目次 =========================================== ■1.エキストラストーリー ■2.キャラ設定 *この先は、エンディング以降に係わる強烈なネタバレがあります クリアしたか諦めたか、そもそもどうでも良い方のみ見てください この先、一千里 ↓ =========================================== ■1.エキストラストーリー =========================================== 雪の博麗神社。 間欠泉は止まる事は無かったが、幽霊や怨霊と言った地底の霊が湧いてく る事は無くなった。 地底の住人は思った以上に今を楽しみ、平和に満足していた様である。 地上の妖怪が危惧したような企みも野望もとうに失われ、地上を攻め入ろ うとする者は愚かな動物に僅か見られただけだった。 これからは地底都市も恐れる事はない。霊夢達も比較的自由に行き来出来 る様になった。その代わり、地底の妖怪もちょくちょく地上に顔を出す様に なったのだが。 霊夢「でさ、何か釈然としないんだけど」 魔理沙「鴉が熱すぎて間欠泉が止まらない。 猫が困って地上に怨霊でサインを送っていた、って事だろ?」 霊夢「鴉が熱すぎる理由は神様を飲み込んだからでしょ? 色々と判ってきたんだけど…… でも、誰かが何らかの目的で鴉に力を与えたんじゃなくて? 力を与えた理由がさっぱり判らないの」 魔理沙「そこんとこ、どうなんだ?」 空「うにゅ?」 神社の茶の間には何食わぬ顔で空とお燐がいた。彼女達はすっかり神社に 馴染み、間欠泉で茹でたというゆで卵を頬張っていた。 魔理沙「温泉卵ならいくらでもあるから食べても構わんが、 そろそろ何が起こったのかをだなぁ」 空「うーん。何度も言ってるけど、私が灼熱地獄跡で遊んでいたら 地上から神様が降りてきてね。 『この辺の地獄鴉で一番強い者を捜してるの』って言ってきた んでそれなら私ですって即答したわ。 そしたら『なら、貴方に力を与えます』って貰っちゃった」 霊夢「おかしな話ねぇ。 地上の神様がそんな事する意味が全く判らないんだけど。 旧地獄の底にいる鴉に力を与えて誰が何の得をするの?」 空「私が得したわ。強い力を貰って」 お燐「もぐもぐ。 灼熱地獄跡も昔はあそこまで熱くなかったのさぁ。 地底が地獄から切り離された時から、徐々に冷え込んで いってね。 特にさとり様が上に地霊殿で蓋してからは暗く寂しくなった もんさ。 でも、おくうがおかしくなってから急激に火力が増したのよ。 間欠泉の制御もままならない位にね。 もぐもぐ」 霊夢「……灼熱地獄が再燃する事で誰かが得をするのかな? もう一度、その力を与えた神様について思い出して欲しいの。 どんな風貌だったのか、何か目的を話していなかったかとか」 空「うーん。 もうあんまり覚えてないねー」 お燐「鳥頭よねぇ。 無駄よ無駄、さとり様の眼を持ってしても判らなかったよ。 もうすっかり心から抜け落ちてるってさぁ」 魔理沙「所詮、鳥の頭だな」 空「確か山から来た神様だとは言っていたけど……二人組で」 霊夢「二人組? あんた、そんな重要なことを今初めて口にしたでしょ?」 お燐「そんな事より温泉造ろうよ。 間欠泉の周りにさ、温泉入ってくいっと……溜らないねぇ」 魔理沙「お前は猫なのにお風呂が好きなのか?」 霊夢と魔理沙はうすうす感じていた。 その神様とはあの山の上にいる二人の神様なのではないかと。 鴉に聞いても拉致があかないので、こうなったら自ら確かめに出かけるし か無いと思った。冬の山は厳しいが、地底の灼熱に比べれば楽なもんである。 地獄の鴉に強大な力を与えた理由と、 これから何が起ころうとしているのかを。 ========================================================== ■2.キャラ設定 ========================================================== --------------------------------------------------------- ◇プレイヤーキャラサイド --------------------------------------------------------- ○楽園の巫女 博麗霊夢(はくれいれいむ) Hakurei Reimu 種族:人間 能力:主に空を飛ぶ程度の能力 毎度お馴染みの巫女さん。博麗神社の巫女さん。 何者に対しても平等に見る性格である。ただ、仕事は妖怪退治である 為、妖怪に対しては厳しいポーズを取っているが、実際は人間にも妖 怪にもさほど興味はない。 地底よりは高いところの方が好き。 ○普通の魔法使い 霧雨魔理沙(きりさめまりさ) Kirisame Marisa 種族:人間 能力:魔法を使う程度の能力 幻想郷に住む、普通な魔法使い。蒐集癖を持つ。 ひねくれて見えるが、内実は誰よりも真っ直ぐ。いつも黒い服を着て いるが、それは魔法使いは黒だと思い込んでいるのと、汚れが目立た ないと言う理由から来ている。真っ直ぐである。 暗くて狭いところは結構好き。 ○境界の妖怪 八雲紫(やくもゆかり) Yakumo Yukari 種族:妖怪 能力:境界を操る程度の能力 普段は何処にいるのかよく判らない神出鬼没の妖怪。 今回は会話できる陰陽玉を作った。 地底は地上の妖怪達とは違う社会を築いているので、余り干渉したが らない。突然の怨霊の出現に戸惑う。 何か大きな異変だったら嫌だなと、影響力の小さい霊夢に調査を依頼 した。 ○小さな百鬼夜行 伊吹萃香(いぶきすいか) Ibuki Suika 種族:鬼 能力:密度を操る程度の能力 地底に住んでいた鬼の一人。 最近は地上に出てきているのだが、普段は何処に住んでいるのか不明。 地底で何か起こってるみたいという噂を聞いて、紫の作戦に乗ってみた。 自分で調べに行けばいいじゃんと思わなくも無かったが、面白くて面倒 で無くて、お酒飲みながら出来る紫の方法が気に入った。 ○伝統の幻想ブン屋 射命丸文(しゃめいまるあや) Shameimaru Aya 種族:天狗 能力:風を操る程度の能力 山に住んでいる天狗で新聞記者。 山の神様と河童が何か不穏な行動を取っていたので潜入取材していたら、 謎が地底世界に繋がった。 これを取材して記事にすれば部数増大のチャンスと踏んで、霊夢を利用 した。 天狗にとって地底に入る事は避けたかったからである。 ○七色の人形遣い アリス·マーガトロイド Alice Margatroid 種族:魔法使い 能力:人形を操る程度の能力 森に住んでいる人形遣い。 間欠泉から不穏な空気を感じたが、妖怪が地底に行く事は憚れていたの でどうしようか悩んでいた。 そんな時、魔理沙が間欠泉に興味津々だったのを見て、魔理沙を唆して 地底に調査に行かせる事にしたのである。 魔理沙には温泉が楽しめるゲームだと言って、間欠泉の根元に向かわせ たのだ。紫に作ってもらった遠隔操作できる人形を持たせて。 ○動かない大図書館 パチュリー·ノーレッジ Patchouli Knowledge 種族:魔法使い 能力:魔法を使う程度の能力 紅魔館に住んでいる魔法使い。 間欠泉から大量の地霊達が湧いている事に気付いた。 よく調べてみるとその地霊達とは、見た目は幽霊とそっくりだがちょっ と違う怨霊だったのである。 怨霊は幽霊と違い世の中を怨んでいる霊である。人間や妖精、妖怪達に 害をなす者であった。 自分はじっくり怨霊が載っている本を探したいのだが、まず誰かに間欠 泉の調査をさせなければ危ない。 困ったパチュリーは紫に相談した。紫も驚いた様子で、人間達を地底に 向かわす策を考え出したのである。 ○超妖怪弾頭 河城にとり(かわしろにとり) Kawasiro Nitori 種族:河童 能力:水を操る程度の能力 山に住む河童。 河童達に驚きのニュースが入ってきた。山の神様曰く、地底に超高温の 核融合炉が完成しつつあるという。 いち早くその究極のエネルギーを手に入れて、色々試してみたい。 そう考えたのだが、河童として鬼の住む地底には入りたくなかった。 どうにかして地底を調べたかったのだが、その時、霊夢が妖怪の要請で 地底に潜るという噂を聞いた。 先を越されてなる物かと、にとりは暇そうにしていた魔理沙に話を持ち かけ、地底に潜らせる事にした。 --------------------------------------------------------- ◇敵キャラサイド --------------------------------------------------------- ○1面中ボス恐るべき井戸の怪 キスメ Kisume 種族:釣瓶落とし 能力:鬼火を落とす程度の能力 暗い夜に道を歩いていると真上から落ちてきて、頭をぶつけてしまう 恐怖の妖怪。 普段は洞窟や井戸の中にいる。狭いところが大好きでいつも桶に入っ ている内気な妖怪である。 ○1面ボス暗い洞窟の明るい網 黒谷ヤマメ(くろだにやまめ) Kurodani Yamame 種族:土蜘蛛 能力:病気(主に感染症)を操る程度の能力 旧都や洞窟の奥底で活動している妖怪。 人間と戦う事に一切の抵抗感は無い。好戦的で性格は明るい。 ただその能力から会う者全てに嫌がられる。しかし、本人は無闇に 相手を病に冒したりはしない。よく話をしてみると明るく楽しい妖 怪で、地下の妖怪達の人気者である。 ○2面ボス地殻の下の嫉妬心 水橋パルスィ(みずはしパルスィ) Mizuhashi Parsee 種族:橋姫 能力:嫉妬心を操る程度の能力 一応、地上と地下を結ぶ縦穴の番人というか守護神である。 地上世界から無事に地下世界に辿り着けるよう、また逆に地下世界か ら地上世界に辿り着けるように見守ってくれる。 だが、非常に嫉妬深く、楽しそうに移動している奴が気にくわない。 そういう奴を見かけると、つい邪魔をしてしまう。 嫉妬はさらなる嫉妬を生み、彼女は嫉妬狂いであると同時に、他人の 嫉妬心を煽る事が出来る。 ○3面ボス語られる怪力乱神 星熊勇儀(ほしぐまゆうぎ) Hoshiguma Yugi 種族:鬼 能力:怪力乱神を持つ程度の能力 萃香と共に山の四天王と呼ばれた鬼の一人。今は旧都に住んでいる。 旧都は昔は地獄の一部であったのだが、地獄のスリム化と共に切り捨 てられた土地である。 ここには様々な妖怪が住んでいるのだが、その中でも代表的な妖怪が 鬼である。 鬼は地上の人間に嫌気が差して自ら去り、余った地獄の土地に新しい 社会を築いたのだ。 鬼達はこの他にも地上で嫌われた妖怪達を率先して受け入れた。 その事に危険を感じた地上の妖怪達は、新しい地下都市を認める代わ りにある条件を出した。 それは地獄の怨霊の封じる事である。それをする代わりに如何なる妖 怪も地下都市には入らせないと約束をしたのだ。 鬼達は地上との交流を断ち、完全に新しい社会生活を人知れず営んで いたのである。 勇儀は鬼らしく、毎日騒ぎながらお酒を呑み、生活を楽しんでいた。 強い人間が入ってきたと聞き、呑んでいる途中であったが慌てて駆け 付けてきたのだが…… ○4面ボス怨霊も恐れ怯む少女 古明地さとり(こめいじさとり) Komeiji Satori 種族:さとり 能力:心を読む程度の能力 地霊殿の主。 地底都市が地獄から切り離されたが、未だ地獄の施設があった場所に は多くの浮かばれない霊達が残っており、それらを管理する者を必要 とした。 灼熱地獄跡の上には地霊殿が建てられ、そこに彼女が住む事となった。 彼女は心を読む事が出来る為、如何なる妖怪、怨霊からも恐れられ、 いつしか地霊殿に訪れる者は殆ど居なくなっていた。 しかし、逆に心を読む能力が言葉を持たない動物達に好かれ、地霊殿 には火焔猫、地獄鴉を始めとするペット達が溢れる屋敷となっていた。 ペットの多さに今度は灼熱地獄跡がまともに管理しきれなくなり、色 んな管理をペットに任せるようになったのである。 ペットの管理をまた別のペットに。 庭の手入れをペットに。 妹の遊び相手をペットに、と。 だが、地上から訪れる筈のない人間が現れ、怨霊や間欠泉の異変を聞 かされた時は大いに驚いた。 怨霊の管理はお燐に任せ、灼熱地獄の火力調節は空に任せていた。 彼女達はさとりに忠実で何も悪い事はしない筈である。異変など起こ る筈がないと信じていた。 もしかしたら、目の前の人間が嘘を吐いて何かを企んでいるのかも知 れない、と心の中を読み、もう一度驚いた。 人間達の心の中には、怨霊や間欠泉といった情報は殆ど無かったので ある。 さとりは訝しみ、人間達を試す事にした。 ○5面ボス地獄の輪禍 火焔猫燐(かえんびょうりん)(通称:お燐) Kaenbyou Rin 種族:火車 能力:死体を持ち去る程度の能力 本当の名前は火焔猫燐(かえんびょうりん) 本人は長い名前が嫌いで、誰にでもお燐と呼ばせている。 火の中に棲む猫で、さとりのペットである。口が上手く、死体や霊と 自由に会話が出来る為、灼熱地獄跡で怨霊の管理を任されている。 彼女の古い友人に霊烏路空が居る。彼女とはさとりに飼われ始めた頃、 則ち地底が地獄でなくなった頃以来の親友である。 ある日、彼女は灼熱地獄跡に異変を感じ取った。 いつもよりも火力が強かったのだ。 火力の管理は空の管轄である。お燐はすぐに空の元を訪ねて驚いた。 誰から貰ったのか、恐ろしいまでの強力な力を手に入れていたのだ。 それ以来、空は増長し始め、力を見せつけるようになっていった。 終いには地上を灼熱地獄にして支配するとまで言い始めた。 そんなこと出来る筈もない。さとり様が許す筈もない。 その企みを地底の誰かに知られてしまえば、空は鬼達に始末されて しまうかも知れないのに。 お燐は友人の変貌に呆れ、彼女は禁断の技を使う。 それは怨霊を地上に送り込む事。それにより地上の妖怪達に異変を 知らしめる事が出来れば、何かが変わる筈だと。 彼女は地上の妖怪達に助けを求めたのだが、彼女の前の現れたのは 地上の人間だった。 その人間は思いの外強く、妖怪退治の専門家といううってつけの人 間だったのである。 その人間の腕が確かなら、増長した空を懲らしめる事が出来るかも 知れない、そう考えた。 最初からさとり様に相談すれば良かったのだが、お燐は何となく空 の異変を隠した方がいいと思っていた。もし空の異変に気付けば、 さとり様は容赦なく空を始末するだろう、そう考えていた。 勿論そんな筈も無いのだが、子供が親に秘密がばれるのを恐れる様 に、お燐も秘密がばれる事を恐れていた。 お燐は彼女に畏怖の念を抱いていたのである。 ○6面ボス熱かい悩む神の火 霊烏路空(れいうじうつほ)(通称:おくう) Reiuzi Utsuho 種族:地獄鴉with八咫烏 能力:核融合を操る程度の能力 一際異彩を放つ姿を持つ鴉。 左足に『分解の足』 右足に『融合の足』 そして右手にそれらを制御する『第三の足』 彼女はこれらの三本足で究極のエネルギーを操作するという。 永い眠りについた火焔地獄跡の上に地霊殿はあった。 地底世界が地獄のものでは無くなった今、ここに罪人が落とされる 事は無く、今では元々棲んでいた地獄鴉、死体を運ぶ火車、他に物 好きな妖怪達と、恨みだけで動く怨霊しか住んでいなかった。 さとりは、自分の物となったその場所にペット達を住まわせた。 空も燐と同じ、さとりのペットの一匹である。 燐は怨霊を、空は火焔地獄跡が暴走しないか見張っていた。 彼女の仕事は、少しでも火が強くなったら中庭の天窓を開け、火力 が衰えたら燐が運んできた死体を投げ込み、火力を調整する事。 毎日毎日、同じ事の繰り返してはあったが、平和で満足のいく生活 を送っていた。 しかし、ある日を境にその日常が崩れてしまう。 何者かが地上から、誰にも気付かれる事なく火焔地獄跡まで一気に 入り込んできたのだ。 そして彼女に語りかけた。 その声は彼女の好奇心を刺激した。 『火焔地獄跡には究極にして人類が手のする事が出来る最後のエネ ルギーを生む秘密が隠されています。 そして、火焔の中に棲む鴉である貴方。 貴方はその究極の力を体に宿らせる事が出来る筈です。 それにより地底のみならず、地上にも希望をもたらしましょう』 彼女は光に包まれ、何者かが体に入り込んでくるのを感じた。 気付いた時には彼女の姿は大きく変化していた。 空は手に入れた力を使うのが楽しくて、気が付いたら灼熱地獄跡は 熱さを取り戻していた。 その熱は地底の水を熱し、水蒸気の圧力が限界に達した時に間欠泉 となって地上に吹き出していたのである。 地上から訪れた者。 それは何者だったのだろうか、そして目的は。 空の小さな頭は、そんな疑問をすぐに吐き出してしまった。 ――八咫烏(ヤタガラス) 彼女の体に入り込んだ力とは八咫烏と呼ばれる神様。 三本足の鴉で、太陽に住んでいると言われている。 八咫烏が持つ究極の力とは、原子創造の力、核融合である。 核エネルギーは、未来に残された究極の幻想であった。 ○EX面ボス閉じた恋の瞳 古明地こいし(こめいじこいし) Komeiji Koishi 種族:さとり 能力:無意識を操る程度の能力 古明地さとりの妹。 彼女もさとり同様、心を読む妖怪であった。 しかし心を読む事で嫌われる事を知り、こいしは心を読む第三の 眼を閉ざしてしまった。 それにより心を読む能力を失ったが、代わりに無意識で行動する 事が出来る様になった。 地底の住人からは嫌われる事は無くなったが、同時に恐れられる 事も動物たちに好かれる事も無くなった。 心を読む力は、自らの心の強さでもある。 それを嫌われるからと言って閉ざしてしまう事は、ただの逃げで あり、結局は自らの心を閉ざしたのと変わらない。他人の心を受 け入れないで完全にシャットダウンする事なのだ。 彼女は大した目的もなく、あちこちをフラフラ放浪するだけの妖 怪となってしまった。彼女としては別にそれが楽しいのだから、 何の問題もないのだが。周りから見ると少し可哀想にも見える。 姉のさとりも閉ざされたこいしの心だけは読む事は出来ず、いつ も何処で何をしているのかよく判っていない。 ペットの猫のように遊んで帰ってきては、また遊びに出て行って しまう。 さとりはそんなこいしを不憫に思い、最近ペットにこいしと遊ぶ ようにと命令し、何匹か専属のペットを与えた。 ペットを飼う事で少しずつ目的が生まれ、他の人の心を受け入れ る事も出来る様になると考えていた。 少しずつだが、ペットを飼い始めてからこいしも変わってきた様 だった。 今回は、地上から人間が降りてきて姉やおくう達と一悶着あった と聞き、中でもおくうの驚異的な能力アップが気になり、地上を 目指す事にした。 無意識で行動する彼女は、誰にも気付かれることが無い。 地上に出ようと、寝ている巫女の脇を通り抜けようと、天狗が警 備する山を通ろうと、誰一人彼女の気配に気付かないだろう。 それは都合の良い事もあるが、やはり少し寂しく見える。 しかし、寂しいと思う心も持ち合わせていなかったのである。 目的である山の上の神社で偶然出会った人間。その未知なる人間 との出会いが彼女の心境に小さな変化をもたらした。 こんな面白い生き物が居るなんて、と思い、もっと目の前の生き 物の事を知りたいと思った。このとき初めて、第三の眼を閉ざし た事を後悔した。 まず手始めに地底の地霊殿に招待しよう。 お姉ちゃんやおくう、お燐とどんな戦いをしたのだろうか。 今まで、どんな妖怪と戦ってきたのだろうか。 尽きることのない話題を聞きたい。 そう思った時、こいしの第三の瞼が少し柔らかくなるのを感じた。 ○はた迷惑な謎の神様 八坂神奈子と洩矢諏訪子。 新しく妖怪の山の上に神社ごと引っ越してきたという神様である。 今回の事件の発端は彼女達にあった。 ――河童のエネルギー産業革命 そう銘打った計画は無事に第一段階を終え、実用化への道を走り 始めていた。 その計画とは、使われなくなった灼熱地獄を超高温な炉として再 利用し、外の世界ではまだ実用まで百年はかかると言われている 核融合エネルギーを取り出すこと。 その第一段階として、優秀な地獄鴉の選定。 太陽の化身、八咫烏の付与。 灼熱地獄跡の再燃。 そして鴉の飼い慣らしである。 間欠泉はその計画の成功の証であった。 核融合は核分裂とは異なり反応が暴走しにくい。また、高レベル な産廃も生まれない。 その為安全性が高くエネルギーも極めて高い為、夢のようなエネ ルギーであった。 神奈子は神社の営業の一環として行動したようである。 特に危険は感じられなかったので、真相が判った後も地上の妖怪 は計画を潰すような事はしなかった。 ただ、地底に行かされた霊夢達は 『そういう事はみんなに言ってからやれ』 とカンカンだったそうな。