-------------------------------------------------------------------- ○東方永夜抄 ~ Imperishable Night あとがき上海アリス通信vol.4 上海アリス幻樂団長ZUN 2004/08/15 -------------------------------------------------------------------- ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ややネタばれもありますのでクリアしてない方は、読んでも読まなくても。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ あと、強烈なネタバレのある方は、キャラ設定.txtに分離しました。 そちらは、クリアしたか諦めたか、そもそも気にしない方のみ見てくださ い。 =========================================== ■0.おまけのあとがきのもくじ =========================================== ■1.おまけのあとがき ■2.裏音楽コメント ■3.エキストラストーリー =========================================== ■1.おまけのあとがき =========================================== どうも、一方的に始めましてのZUNです。 東方もこれで第8弾となります。これだけ長く創っていても内容に大し た変化が無いということは、良い事なのか良からぬ事なのか判りませんが 遊ぶ方はともかく、私は楽しいです。 というか、相変わらず何言ってるんだかさっぱり判らんゲームだね(挨拶) このゲームの弾幕は口ほどにものを言うのですよ。 東方は本当に楽しんでもらえているのだろうか、と不安になることがあ ります。このゲーム、中には判っている人も居ると思いますが、今までに 無い方法で弾幕を使用しているんですよね。この遊び方がどれだけの人に 理解されるているのかなと疑問に感じる事があります。弾幕でストーリー やキャラクターを語り、次から次へと眩惑的な攻撃を繰り返す事で、次の 「弾幕の見たさ」が先に進みたくなる動力となる。その為、東方では弾幕 の一番重要な要素が「名前と意味」、次が「それに似合った見た目」とな るわけです。 いつしかゲームは演出とゲームが分離し始めてしまった。恐らく、昔の 不健全の対象だったゲームが、世間的に認められて一つの文化になってし まったあたりからこの様な考え方が蔓延し始めた様に見えます。丁度、フ ァミコンはお母さんの敵と言われた時代から、大人も子供もプレ(略)に 変化した辺りのゲーム機の性能UPの時期です。一部のマニアには、ゲー ムをするという行為が反社会的行為だったから面白かった、という屈折的 な人も居る(私だけじゃないよね(汗))。私なんか、ゲームがいまいち 面白くなくなった理由は、単純にゲームがメジャーになったから、TVC Mとかでガンガン流れるようになったから、と言うのが実のところの本音 です。でも、この時売れるからって量産された所謂駄作のゲームが引き金 となり、「デモはゲーム外、演出や見た目ばっか凝るのはゲームの敵」と 言った間違った認識が広まり始めてしまった。 これは非常に残念で誤った認識です。そんな考え方ではゲームはどんど んと収縮していく、魅力を失っていく。現に今そういう方向に進んでいる ように見える。ゲームはもっと自由で、もっと魅力的なものだったはず。 私が記憶しているSTGはどれも何処か魅力的であり、その魅力を引き 出す為の努力に一番力を注いでいたと思う。私は魅力的だった頃のSTG を思い出し、その古の方法論で東方を作ってみたんですよ。「弾幕」を魅 力的にする為に、弾幕をスペルカードという名前で「パッケージ化」し、 「名前」を与え「見た目」に意味を持たし、「キャラクターと能力」によ りゲームとの不整合さを消す、「立ち絵と会話」により弾幕に物語性や威 圧感を持たせ、「音楽」によってキャラと弾幕をゲームを合わせる、これ らに全てによって初めて完全な弾幕(スペルカード)になる。全てが弾幕 の魅力の為にあり、その魅力がゲームの魅力なのです。 私が前述の様な「デモはゲーム外、演出や見た目はただのおまけ、ゲー ム性こそがゲームだ」と間違った認識をもっていれば、弾幕はただの点稼 ぎアイテム、もしくはただ爽快感を味わう為のストレス解消剤、良く出来 てもパズルにしか成長出来なかったでしょう。これが今のSTGと言えば、 確かにそういうゲームが増えたし、それはそれでよく出来ているし、評価 する人もゲームの中にゲームとゲーム外を置いて評価している事が多いし、 そういう物なのかもしれない。それが、今の常識なのかもしれない。 純粋で練り込まれたゲーム性が基底にあって、その上に人を引き付ける 為の見た目や演出や設定を入れるのが今の方法論ならば、ゲームの中に存 在するものは全てゲームであり、ゲーム性や見た目、システム、設定等全 てを「一番見せたい物を魅せる為の材料」にする、というのは古い方法論 なのかも知れない。 でも、東方が私の考える古の方法論で少人数にでも受けて頂いた事は、 私にとっては凄く意味があった事だと思います。 同人だから自由にコンセプトを置ける「21世紀の20世紀延長型STG」、 ゲームはまだまだ商品化してないな、と。 話変わって、今回、全体的に禍々しい光の色使いのゲームになっている かなぁ……。 テーマがテーマなんで、全体的に色々と眩しいゲームになっているかと 思います。夜を表現するには、光が一番良いと考えていますので。 そのお陰で一部とてもじゃないけど眩しくて見えないようなスペルカー ドも存在します(まだ遊んでいない方の為に言いませんが)が、それは仕 様です。むしろその見辛さが敵の眩惑術だと思って(笑) 通常、ゲームでは見辛さはマイナス点となります。プレイヤーが受けれ る情報は主に視覚情報なのですから。かといって、表現したい内容と見た 目が余りにも異なる様では、作品としてどうか。 まぁ、妥協して最終面以降は自キャラの周りだけは見易くなるように、 背景をデザインしましたが(ぉ 今回、新たにスペルカードのプラクティスモードが追加されていますが、 これって実は危険なシステムなんですよね。何故かと言うと、ゲームの格 を落としてしまう可能性を持っているからです。 何時の間にかゲームはおまけ主義というか、ご褒美主義というか、どう も目的がおまけに偏り過ぎている感が否めない。STGを一度クリアした後も 引き続きそのゲームを遊ぶのは何故か。それはおまけが欲しいからでも点 数が稼げる(やり込める)からでもなく、ゲーム自体が心地よいからなん ですよね。 スペルカードモードは、本編を「スペルカードモードを埋める為のモー ド」にしてしまう可能性を秘めている。これはまさしくおまけ主体ゲーム です。最近(といっても随分と前からですが)、そういうゲームが多くな った気がします。RPGのミニゲームなどは良い例ですね。そういうゲーム は、与えられた短いミッションをこなしているうちは面白いですが、どう も後を引かない。あーいい時間つぶしになった、って感じで、充実感に欠 けると思うのは私だけでしょうか。 今回はそういうおまけ主義になる覚悟もして、あえてこのモードを追加 してみました。まぁ、私の感じでは本編を喰っている事は無いかなぁ、と。 というのも、東方は既にスペルカードがゲームを喰っていた為、スペルカ ード自体はおまけにならないみたいです。むしろ本編の一部分を遊んでい る、補佐的なイメージがあります。 (まぁ、紅魔郷開発当初は、スペルカードはあくまでもただの1システム のつもりでしたが、何時の間にかゲームを喰っていたんですね:-) そこで、スペルカードモードをおまけから本編の一環に変更してデザイ ンしなおして見ました。それにはまず、スペルカードモードは出来るだけ 本編と同じになる様にする。出来るだけここだけの特別な遊び方が生まれ ないように注意しながら、本編の流れに組み込む。スペルカードモードを 遊ぶ事が本編の練習になり、本編が進む事がスペルカードの充実に繋がる。 一見地味な作業のような気もしますが、こんな飽食の今の世の中だからこ そ、こういう、一つのゲームを一つの作品として大切にする作り方っての も、重要じゃないかなぁと。 とにかく、本編の格はゲームの格、ひいては作品の格。刹那的な面白さ の追求の為に、容易にその格を傷つけてしまっては作品の魅力を損なう。 私が紅魔郷の時から、このモードは入れるとしても一番最後に入れると再 三言っていたのはそういう理由があるのです。目に見える面白さだけを追 求すると面白くなくなるのでしょう。 でもまぁ、このモード。取得するたびに訳の判らない補足が追加されて、 その不気味さに萎える(笑)。そんなんで良いのか? (その無意味さが、本当の「おまけ」なんだよ。 ちなみに難易度が高いスペルカードほど異常な補足が追加されるという) そして、音楽。 今回は、ちょっと猛スピードな曲が多いです。全体的に急いでいる感を 出したかったのでこんな感じ。何度も遊ぶと結構疲れます。 なんていうのか、リターンオブ東方(PC-98)って感じで、なんだか凄く 懐かしい(私が)。最近のゲーム曲のクールさに浸ってきたあなたにも、 たまにはこういうゲームゲームした曲も良いんじゃ無いですか? 音楽には音楽の風が吹きます。当然、作曲者も聴く人もはその風の流れ に乗っています。好きで風に乗るのも、風を嫌うのも同じ事。どちらもそ の流れの中に居るから起こるのです。 ゲームにも同じ様にゲームの風が吹きます。でも本来、音楽の風とゲー ムの風は本来無関係なのです。私が考えるゲームミュージックはあくまで ゲームです。音楽ではありません。ゲームミュージックは、音楽の風では なく、あくまでもゲームの風に乗っていなければいけないと考えます。そ の為、ゲームミュージック単体を抜き出すと風に乗っていない状態になる のが世の常なのです。 というか、私が時代遅れ?(笑) そう言えば、良く幽霊だとか死人のようだ言われますが、生きています。 次回は、どうしましょうかね。 大体予定通り3作作ることが出来たので、一旦ここで再構築が行われる と思います。次回作の予定は大体立っていますが、まだその先(次々回作 以降)が思いついていないので、暫らく考えて見るかも。 ただ、これだけは言っておきますが、次回は一気に規模が落ちると思い ます。大体紅魔郷レベルまで。キャラも主要なメンバー以外は余り引き継 がないで、新しい世界を見せていく事になるはずです。これはこういう流 れですので、そういうものと思って(笑) 怪綺談から紅魔郷で一掃したのも同じ様な理由もあります。多様さを認 める東方世界は常に膨れ上がる傾向にあるので(誰も消えないしね)、何 処かで戻さないといけないのですよ。 まぁ、紅魔以降のキャラは萃夢想でも出てきますから、そちらもよろしく(笑) もしくは、外伝的なもので特殊なSTGで誤魔^h^h出してみるとか 東方の二次創作品について。 前回は一年前の妖々夢ですが、その時は二次創作して頂いた、という事 自体が驚きでした(今でも驚いていますが)。東方自体は永夜抄まで来て、 細かい所は除いて大体予定通り作ったのですが……、こう言っちゃなんで すが永夜抄で初めて一部のSTGマニアの中でカルト的に微妙に盛り上が る感じ、という3年構想を想定して組み立てていたんですよね。紅魔郷あ たりは盛り上がった時に、実は奥深いんだぞっと過去を掘り返す為の作品 で……、見事に構成通りには行かなかったのですが。 (紅魔郷の時はあくまで、STGに首っ丈の一部のシューター向けという コンセプトで創られていました(笑)) いやはや、私が今の同人とシューターの情報網と規模とパワーをなめて いたとしか思えない(私は同人から足を洗って結構経っていたので^^;) 最初から幅広く遊んで貰おうともしていないし、二次創作なんかとてもじ ゃないけど出来る様に考えられていなかったのですが、それが今の状態で すから驚きを通り越して困惑気味です。逆に言えばゲームは、狙って上手 に作れば良いってもんじゃないのかも知れないですね。一部の人だけでも 楽しんで貰おうと本気で考えれば、一部以外の方にも楽しんでもらえる。 上手にではなく、楽しんで創れ、と。 どのキャラも無駄に細かく設定やストーリーが備わっていたのですが、 中々出す機会が無いのが残念です。特にゲーム中では語れませんしね(笑) 大体、弾幕でストーリーやキャラクターを語るってのが、今までのSTG の中でもかなり特殊過ぎてついてこれる人が居るのか微妙。その所為で、 ゲームに出せない性格のキャラも出てくるし(霖之助みたいなタイプに弾 幕は無理(笑)) そうそう、キャラクターの設定も立ち絵の会話も、全て弾幕の演出の為 にあるんですよ。冷気を操るという事を会話で言って、その直後に冷気の スペルカードを使う。だから、弾幕が楽しく見えるのです。会話がが無け れば、スペルカードシステムの半分は死んでしまう。出来る事と言えば、 戦車が弾を撃つ程度の常識上の弾幕か、意味も無く曲がったり止まったり するだけの弾幕のみ。妖夢並の半死状態になってしまう。逆に言うと会話 は弾幕の為にあるだけなんで、内容はストーリー性に乏しいものに(汗) これでどうやって二次創作するのでしょう?^^; あと、東方をやって一番不自然に感じるんじゃないかな?という所があ ります。東方には大したストーリーがありません。エンディングでも、あ んたらゲーム本編はどうした?という位関係の無いエンディングが流れ ます。ここに不自然さを感じなかった人は居ないんじゃないでしょうか? (旧作の東方を遊んでいた人は別(笑)) 大抵の作品は常識の中に非常識が存在し、その非常識が非日常を生み、 それがストーリーとなります。でも東方は全く逆で、非常識の中に日常が ある。語られていない部分の大半も非常識で出来ているけど、作品自体は (非常識だが)日常をテーマにしている。だから大したストーリーは無く、 終ればあたかもずっと日常だったかのような非常識な日常が待っている。 私はそんな永遠にぬるい作品が好きなんですよ。非常識人生なんで。 それはともかく、そんなぬるいゲームの二次創作はどうかというと、こ れがまた熱い(笑)。先に言ったとおりこのゲームの特徴は、弾幕がキャ ラクターとストーリーを語る所。この部分を意識しているのかしていない のか判りませんが、頂いたどの作品もちゃんとキャラクターが強くて楽し まさせていただきました。キャラクターの強さは弾幕の強烈さと同義です。 (頂いた作品は全て見させて頂いた後、全て保管してあります。既に数百 作品にものぼるという。)個々の作品に対しての感想は私の立場上、公の 場で余り言う事が出来なくなってしまいましたが、それは個々に挨拶する 時に……。 それから私が一番驚く事は、二次創作がかなり多ジャンルに渡っている 事と、内容が意欲的である事、エロが少ない事(笑)。東方が究極に偏っ た弾幕STGという事も含めて、同人の中でもかなり異常で素敵な世界だ と思います。この正常と異常、常識と非常識の境界が幻想郷の結界なので しょう。 そんなこんなでもし永夜抄、から萃夢想、またこれ以降の作品も、興味 がありましたら適当に手を出してみてくださいね。東方は、来る者拒まず、 去る者追わず。興味があったり、楽しみたい時だけ幻想郷に深く突っ込む の善し、幻想なんて存在する物か、と外から叩くのも善し。決して入って くる者を新参者扱いしたり、出て行く者を追ったりしない様、お願い致し ます。 萃夢想について 萃夢想は黄昏さんと共同で創っている東方の格闘ゲームです。今回は残 念ながら(私としては助かったのですが(ぉ)体験版と言うことで、特に ストーリーはありません。その為、私の方でやった事といえば、キャラの 設定と能力、技名等を決めたと言う事。私の理想としては、ゲーム性とか バランスとかコンボとか言う前に、弾幕(?)の見た目とその意味する所 だけでも楽しまさせたい。キャラ達が元気良く動いているだけで楽しい。 (そういうこと言うと格闘マニアに叩かれたりして、黄昏さんが嫌がるか も知れませんが(ぉ)。まぁ、同人ゲームは創っている人が楽しければ必 ず良いゲームになるってのが、私の考える一つの信念なのですよ。萃夢想 でも同じ考えを持って頂けるようにしてもらいますので(ぉ 完成は冬コミとなって、私が何も出すものが無い時に出してもらえるの で非常に助かったり(ぉまだ出るキャラは発表できませんが、異常な雰 囲気のシナリオと共に色々適当に。 ==================================================================== ■2.裏音楽コメント ====================================================================  曲名は雑音と音楽の結界であり、創曲者のみがその結界を操る能力を  持っているのである。  そんな能力をどう適当に使っているのかのコメントを。  1.永夜抄 ~ Eastern Night.    東方の夜    大体、タイトル曲はゲームタイトルが基本。毎回この曲と同時にタイ   トルロゴが出るから。アレは曲名も兼ねているともいえます。  2.幻視の夜 ~ Ghostly Eyes    霊の眼。    幽かなものを捕らえる眼。この眼が捉える夜はその本当の姿を見せる。   幻視は原始ともかけています。それだけ自然のままの夜という事。  3.蠢々秋月 ~ Mooned Insect    月形の蟲    単純に韻を踏んでいるだけですが、春と言う文字と秋という文字を入   れて不思議な季節感を出してみました。蛍が何故月形かというと……。  4.夜雀の歌声 ~ Night Bird    夜雀は普段は姿を見せない声の妖怪。鳥の歌声なんでたがが知れてい   ますが。  5.もう歌しか聞こえない    勿論、ミスティアの弾幕に引っ掛けた名前。歌しか聞こえないのは、   歌が魅力的だからではなく、半強制的。  6.懐かしき東方の血 ~ Old World    古の地。    地と血をかけていますが、意味するところは同じ。地と書いた場合は   ユーザーに対しての名前で、血と書いた場合は勿論私に対しての名前。  7.プレインエイジア    ままの東方。    曲名もかざりっけが無い。  8.永夜の報い ~ Imperishable Night    終わらない夜。    プレイヤーが弄った夜は、様々なところに影響を与え始めたらしい。   その報いを受ける時が来た。  9.少女綺想曲 ~ Dream Battle    夢想戦。    Dreamは霊夢の夢。決してプレイヤーの夢ではない。  10.恋色マスタースパーク    もはや、ストーリーと無関係の曲名。   我が道を行くのは、黒い少女か。  11.シンデレラケージ ~ Kagome-Kagome    日本のシンデレラを隠す檻は、無理に連れ出そうとしても、絶対に姫   は出て来ない。それは篭目の所為である。   しかし、天人の一言で全ての扉が開かれてしまう。  12.狂気の瞳 ~ Invisible Full Moon    不可視の満月。    月に居る奴はみんな狂っている事になっているが、これは波長が違う   から、常人にはおかしく見えるだけ。赤より赤くなれば、それは赤外線。   人間には不可視なのです。  13.ヴォヤージュ1969    旅人。    霊夢たちは、気が付いたら大気圏外に居ただけで、別に旅したかった   わけではない。  14.千年幻想郷 ~ History of the Moon    月の都の歴史。    月の裏側にある月の都。出来たての幻想郷なんか比じゃないほど古い   歴史を持っている。その都は、今は少々……。  15.竹取飛翔 ~ Lunatic Princess    月のお姫様。    でもこの姫は結構悪い事してんのよ。そして地上で身を隠す生活。   ちなみに翁が空を飛んでいる訳ではない。念のため。  16.ヴォヤージュ1970    旅人。    でも人間は旅をしている。妖怪はいつもお留守番であり、人間の旅行   のスーブニイルなのだ。  17.エクステンドアッシュ ~ 蓬莱人    蓬莱の薬。    富士山が世界遺産に選ばれなかった本当の理由。それは世界程度に選   ばす事が出来ないような霊峰なのだから。というか、ゴミ捨てんなよ。  18.月まで届け、不死の煙    富士山噴火怖いねぇ。富士の煙は色んなもの含んでるからねぇ。今の   富士の中は穢い物も混ざっていて……。   こんな煙が月まで届くから、月も穢れる。  19.月見草    月を見るのは人間だけではない。   妖怪も見る。  20.Eternal Dream ~ 幽玄の槭樹    勿論、紅葉も紅い月の光を受けているからである。切ると紅い。  21.東方妖怪小町    人間も居るんですけどね。   まぁ、ここまで来ると妖怪としか言い様がないか。 =========================================== ■3.エキストラストーリー =========================================== 夜は本物の月の光が幻想郷を照らし、昼は太陽の角度が低くなっていった。 それは、人間にとって最も丁度良い温度になったといえる。 幻想郷はいつも通り平和だった。 霊夢「あーもう。退屈ね。」 博麗神社、幻想郷の境にある神社である。 そこの巫女さんはいつも暇だ。 魔理沙「そうだなー。なんか無いのか? いつも大異変の後には余震の様な異変が起こるもんだがな。」 霊夢「異変じゃなくてもいいけどね。」 魔理沙も大体暇だ。 咲夜「だから、こうして構えているってのに、変ね。 何にも起きないわね。」 魔理沙「身構えてるから恐れをなしたんじゃないのか?」 神社とメイドの組み合わせは案外相性が良い。 妖夢「いや、何か起きますよ。幽々子様がそういってましたから。」 霊夢「……」 余り信憑性はない。 カコーン。 ししおどしは無いのだが、その音が頭の中に響いた気がした。 その位退屈である。 輝夜「そんなに暇だったら、今夜の満月の晩、肝試しをしてみない。」 霊夢「って、何時の間に神社の中にー。」 神社の中の方から出てきたのは、輝夜だった。宇宙人である。 常人には宇宙人の行動も思考回路も不明である。 魔理沙「肝試しって、あんまり怖いもん無いぜ。」 輝夜「大丈夫よ、本当の満月が照らす様になった今、丑三つ時に竹林に 来て見なさい。本当の恐怖が味わえるわよ。素敵。」 咲夜「って、貴方、何か仕掛けてあるのかしら?」 輝夜「仕掛けなくても……、怖いわよ。ほんと。貴方の御主人様なんかよりずっとね。」 妖夢「肝試しは……、私はちょっと……。」 霊夢「半分幽霊が一番びびってどうするのよ。」 大体の人は暇だったので、見た目とは裏腹に割と乗り気である。 それに輝夜の様子は、明らかに何かある様にしか見えなかったのだ。 霊夢「肝試しなんかにかまけている時に、何か起きたらどうするのよ。」 魔理沙「こいつが肝試しをけしかけて来た、ってところが既に異変の入り口だぜ。」 咲夜「何か起きても、順番に行って残りは神社に居れば大丈夫ですわ。」 妖夢「え~、本当にやるんですか~、肝試し~。」 やる気だ。 輝夜「あ、そうそう。肝試しは私の処に来た時と同じ様に二人一組でお願いね。 片方に何かあったときにすぐに連絡が出来る様に。」 霊夢「何かやっぱり怪しいわね。」 魔理沙「この間の仕返しでもするつもりか?」 輝夜「何言ってるのよ。全ては貴方達の安全を考えての事。」 咲夜「肝試しをけしかけて来た人の言う言葉じゃないわね。」 妖夢「是非二人でやりましょう。」 結局、人間達は輝夜に唆されてか暇だからか、肝試しは今夜の丑三つ時に出ることとなった。 とりあえず、パートナーの妖怪達に声を掛けてまわる四人。 そもそも妖怪だろうが幽霊だろうが何でもござれの幻想郷。 果たして何が怖いというのだろう。 輝夜「ついでだから、あいつも退治してくれると助かるんだけどね。」 本当の満月に照らされた竹林は、霊夢達の想像をはるかに越える妖精、妖怪の群れが 自由に跋扈していた。 こんなに騒がしいところじゃ肝試しもへったくれも無く、むしろ妖怪退治になると思う。 輝夜「いざ肝試し。肝を試すのよ。肝。」 人魚の肝を喰らうと不老不死になるというが……。